茨木市×追手門学院大学法学部連携講座
本講座の趣旨 本講座は、追手門学院大学法学部が茨木市と連携し、地域連携・地域貢献活動の一環として、2024年1月より開始する講座です。法学部教員が日頃の活動の成果の一端を、地域の一般市民の方々に知っていただくことによって、この地域の唯一の大学法学部として、研究成果の社会還元の責めを果たそうとするものです。
終了した講座
- 《第10回》三成美保教授「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見・思い込み)とは何か?―その克服に向けて」
日時:2024年7月21日(日)13:30~15:00
会場:茨木市立男女共生センター ローズWAM 5階501・502
内容:三成教授は、内閣府男女共同参画基本計画等にアンコンシャス・バイアスの語が登場した経緯、形容詞の性差等にみられるその実例、マイクロアグレッションを説明した上で、誰が・どう困るかという観点から、「人間=男性」モデルの危険性、母性バイアス・大黒柱バイアスについて論じ、最後に、無意識を意識に変え、ジェンダー主流化の国際的潮流に日本も倣うべきとして、社会・家族・自分の心の壁を壊すとともに、強制力をもつ法・制度の改革が求められると説きました。 - 《第9回》永田泰士准教授「民法からみる賃貸物件の選び方」
日時:2024年6月27日(木)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:永田准教授は、賃借人の義務についての民法の規定が任意規定であることを説明した後で、実務における特約の代表例として、①礼金、②敷引特約、③通常損耗回復費賃借人負担特約、④更新料特約を取り上げ、各々について消費者契約法10条に基づき無効となるかを検討した上で、最高裁の判例を紹介し、以上のことを踏まえて、民法からみた賃貸物件の選び方について解説しました。 - 《第8回》池内博一准教授「消費者被害の予防と救済」
日時:2024年5月20日(月)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:池内准教授は、消費者被害の背景や実態について統計資料などをもとに説明した上で、消費者被害を予防するためには、世代に応じた消費者教育の実施と法的リテラシーを身につける教育が必要であると説きました。また、消費者被害を救済するために、消費者契約法や特定商取引法などが様々なルールを定めている点について、消費者被害の具体的事例をもとに解説しつつ、消費者法のさらなる整備が必要であると指摘しました。
- 《第7回》服部高宏教授「生命倫理と法」
日時:2024年4月10日(水)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室304
内容:服部教授は、医療技術の発展に伴い生じた生命倫理上の問題の規律について、国により法のかかわり方がさまざまであることを指摘した上で、生殖補助医療、臓器移植、終末期医療に関し、問題の所在と検討状況を振り返りつつ、法律による規律がどのように行われ、あるいは問題領域によっては法律ではなく学会のルールやガイドラインが設けられ対応がなされてきたことについて説明を行いました。
- 《第6回》池内博一准教授・永田泰士准教授・松永詩乃美准教授
「成年と未成年者の法律入門―民法で学ぶ成年年齢18歳と法律問題」
日時:2024年3月22日(金)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:まず、池内准教授が、くらしや市民生活に関する法律である民法が財産と家族について定める内容を図も用いて説明した後、成年年齢18歳により生じた変化・問題を指摘しました。次いで永田准教授が、クレジットカードの過剰使用問題を人間の性癖と関連付けて説明した後、対応の仕方に言及しました。最後に、松永准教授も登壇し、成年年齢引き下げに関する若者の意識等について受講者と意見交換しました。
- 《第5回》志賀 典之 准教授「日常生活で役立つ著作権法の基礎知識」
日時:2024年3月4日(月)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:志賀准教授は、著作物の保護と利用に関するルールである著作権法を取り上げ、著作物(著作物でないもの、特殊な著作物等)、著作者、著作権の内容(著作権者は何ができるのか等)、著作権の例外(私的使用のための複製等)とライセンスなどの基本項目につき、インターネット環境下での情報発信・利用において生じる具体的問題も取り上げながら、丁寧でかつわかりやすく解説しました。
- 《第4回》柴田 尭史 講師「選挙と議会」
日時:2024年2月22日(木)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:柴田講師は、選挙や議会に不信感が抱かれた時代があったものの、それでも選挙や議会が維持・実施されるのは何故かと問うた上で、日本国憲法の文言から民主制、国会、選挙の意味内容を丁寧に読み解く一方、選挙や議会が社会において果たす種々の機能の実情や現代議会民主制下での政党の位置づけをも視野に収め、国民代表機関である議会への信頼とチェックの持続的なプロセスにこそ選挙の意義が認められるのではないかと説きました。
- 《第3回》福島 涼史 准教授「入国管理の理論と現実」
日時:2024年2月8日(木)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:福島准教授は、各審査に際して基準がなく大幅な恣意的判断の余地が残る在留資格制度に代表される日本の入国管理制度について、旅券や難民条約などの越境に関わる制度の趣旨を参照しながら、本来は滞在を基本とする発想に転換すべきであると説くとともに、さらに、移動の自由を個人の前国家的権利や社会契約説の考えに基礎づけたうえで、そこから導かれる無差別性等の法的要請を確認し、市民目線で何ができるかを解説しました。
- 《第2回》小田 直樹 教授「特殊詐欺への対応と刑法の限界」
日時:2024年1月26日(金)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:小田教授は、罪刑法定主義等の刑法の基本原則、構成要件該当・違法・有責任という犯罪の定義、構成要件の捉え方を確認したうえで、特殊詐欺について、その定義と具体的被害状況、関連する刑法の規定、犯罪としての特徴を説明し、さらに、特殊詐欺への現下の対策・対応に従来の刑法の見方からみてどのような問題点があるかを指摘して、最後に、新たな犯罪に対処する上での課題を指摘するとともに、刑罰をもたらす法である刑法への市民の自覚を求めました。 - 《第1回》山本 顯治 教授「投資取引と消費者被害」
日時:2024年1月11日(木)14:00~15:30
会場:茨木市立生涯学習センター3F 研修室305
内容:冒頭に、連携講座開始にあたり、高田篤法学部長よりご挨拶がありました。山本教授による講座では、わが国と米国の金融資産の振り分けを概観した後、投資に関する日本の裁判を素材としつつ、損失領域において人はリスク・テイカーになるという投資者心理に関する研究成果もふまえて、わが国における「貯蓄から投資へ」という今日の流れの中で個人が注意しなければならない点について、法的な観点から解説がなされました。
担当:服部・高橋・小田・福島