法学部長 高田 篤

はじめに

高田篤法学部長

 法学部長を務めさせていただく、高田篤です。皆さんの学生生活が素晴らしいものとなるよう、他の先生方とともに、最大限の努力をしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆さんは、学生生活をスタートするにあたって、大きな希望を持っておられることでしょう。しかし、それと同時に、小さくはない不安を抱いておられるかもしれません。その不安は、ひとりひとり様々だと思いますが、多くの方々が共通して、二つの不安を持っておられるのではないか、と想像しています。ひとつは、高校までの学びとは違う、大学での新しい学びに対する不安。もう一つは、自分たちの学ぶ場が新しい学部である、ということによる不安です。

1 新しい学び

 まず、新しい学びについてです。

 皆さんは、小学校以来、教科書や参考書など、与えられた教材をしっかりと理解し、それを頭に入れることを目指して、勉強してきました。そして、どれほど理解しているかが、問題集や試験などでチェックされました。もちろん、どうすれば効率的に頭に入れることができるかなど、それぞれで工夫をされたと思います。しかし、与えられた教材をできるだけしっかりと理解する、というのが基本的な勉強の仕方でした。

 もちろん、大学の勉強でも、理解して頭に入れる作業は欠かせません。しかし、今までと違うのは、より積極的に学ぶ、大層に言えば、学問をする、ということが求められることです。非常にわかりやすく言えば、例えば、目の前の教科書の内容は、20年後、30年後、すっかり変わっているかもしれない、ということを意識して学ぶことが必要になります。

 皆さんが学ぶ法や、法にかかわる問題・課題は、時代とともに変化していきます。そして、法を扱う行政や裁判のあり方、また、法を研究する学問の成果も、発展・展開していきます。20年後の教科書が、今皆さんが使われる教科書と比べて、相当変化している、ということは、むしろ当然のことなのです。

 しかし、学ぶ内容が変化しても、皆さんの大学での学習が、無駄になるわけでは、もちろんありません。皆さんは、学ぶ内容について、
-どうしてそんなことが問題になるのか、
-何故それに対して異なった考え方があるのか、
-自分はどう考えるのか、
-今後この課題はどのように変化していくのか、
といったことを考えながら、それに取り組んでいきます。それを通じて、そのような学びの方法を身につければ、皆さんは、人生の各ステージで、新しい課題にぶつかっても、しっかりと学んで対処していくことができるからです。追手門学院大学は、「生涯にわたって学び続ける」ということを大切にしていますが、本学での学習の肝は、ここにあるのです。

 そのような学習方法を身につけるためには、4年の間、常に積極的に学習する必要があります。追大法学部は、それを皆さんの自覚や頑張りに期待するだけではなく、それが可能となるよう、講義の機会だけではなく、少人数教育の機会を絶え間なく提供することによって、自然とそのような学習ができるようにします。つまり、1年生から4年生まで、皆さんは、常に、少人数の学生からなる何らかの「ゼミ」に所属し、先生や他の学生と共に、積極的に学ぶことになります。これだけの少人数教育の機会を提供している法学部は、なかなかありません。本学は、皆さんが先生方と身近に、双方向で接し、学生同士が共に学ぶことによって、皆さんの、理解し、考え、議論し、まとめ上げ、表現する能力が育っていくようにしていきます。

 皆さんが、積極的に授業に参加すれば、新しい学びへの不安は、きっと学びへの大きな希望と期待に変わっていくはずです。

2 新しい学部

 次に、新しい学部であることについてです。

 伝統的な法学部は、「実績」があり、そこで学ぶ学生の多くがそれを信頼しています。しかし、その「実績」というものは、先輩方がしっかりと学ばれ、成果をあげて来られたことの積み上げです。そこで今学んでいる学生が、自ずとその「実績」に続くことができるわけではありません。自分自身でしっかりと学び、成果をあげなければならないことは、皆さん方、追大法学部の学生と、なんら変わりません。ただ、彼らには、先生方や先輩方と接することによって、どのようにしていったらいいのかについて、「道筋」がみえるように思える、という強みがあるのでしょう。

 その点で、一番大切なのは先生方です。先生方が、優れた指導力と、経験を持っておられる、ということは重要です。先生方については、追大法学部は、本当に素晴らしい設立メンバーがそろいました。論より証拠。もし、皆さんの友人で、他の法学部で学んでおられる方がおられたら、その方を通じて、他大学の法学部の先生に聞いてみてください。「新しい追手門の法学部の先生って、すごいメンバーなんですってねぇ!?」間違いなく、肯定的なお返事が返ってくるはずです。既に様々な大学で、大きな実績・経験を積んでこられた先生方。今、脂が乗りきって、活躍されている先生方。今後の法学を担っていくだろう、と期待されている先生方。本当に、素晴らしいチームが出来上がりました。皆さんは、その先生方と、他大学の法学部の学生以上に、身近に接していくことができます。伝統的な法学部以上に大きいそのようなチャンスを、是非生かしてください。

 確かに、先輩方が少ないことに、不安を感じることがあるかもしれません。しかし、ものは考えようです。過去のしがらみに何らとらわれず、皆さん自身が、全てを新しく作り、その後に道ができるというのは、なかなか出会うことのできない、面白い機会です。私も初めての経験で、わくわくしています。例えば、様々な分野で活躍しておられる方々からお話をうかがう機会を設けるなどして、皆さんがこれからの生き方を考えるのを、サポートしていきます。皆さん方も、そのような機会に、自分の将来に対する見通しに刺激を与え、それをより具体的なものにしていってください。新しい学部への不安は、むしろ「力」となり、「工夫」となって、皆さんの未来を切り開いていきます。

おわりに

 学生生活では、新たな出会い、経験を多くされることでしょう。数多くの刺激を受けると同時に、悩みに直面する場面もあるかもしれません。いずれにせよ、追手門学院大学法学部一期生として過ごすこれからの年月(としつき)は、皆さんの人生にとって大切な、かけがえのないものとなることでしょう。その皆さんの大切な時期に、私たち教員は、しっかりと寄り添っていきたいと思います。皆さんが、健康で、充実した学生生活を送られることを、心から願っています。